--.--.-- *--

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[EDIT] [TOP]

2007.08.11 *Sat

朝崎郁恵「おぼくり」~暑い夏に〈効く〉CD(その1)

残暑お見舞い申し上げます。

それにしても想像を絶する暑さです。せめてクーラーの効いた部屋で、いい音楽に耳を傾けて涼をかんじたいもんです。じゃあなんかいいCDあるかな、と思ってHMVやタワレコのサイトをのぞくのはよいのですが、まちがっても「ショスタコーヴィチ」とか「ペンデレツキ」といった購入ボタンをクリックしてはいけません。室温が過剰に上がることになります。

そこで何枚かおすすめCDをご紹介したいと思います。
本日の1枚はこれ!

朝崎郁恵「おぼくり」です。

おぼくり


朝崎郁恵さんは奄美出身の、島歌の歌手の方。いわゆる「おばあ」です(失礼)
http://www.asazakiikue.com/
http://www.asazakiikue.com/blog/

同じ奄美出身の歌手に元ちとせさんがいますが、彼女と発声、というかビブラートがよく似ています。沖縄ともまたちがう特有のビブラートです。これは真似ができません。この声がたまらない魅力です。ジャズピアノをベースにした編曲に乗る彼女の歌声を聴いた瞬間、涙が止まらなくなったという人がいます。哀切な歌声です。


ところでこのCDには「十九の春」という曲が入っています。
ここで試聴できます。http://www.hmv.co.jp/product/detail/1090658

この曲がアメリカ統治下の沖縄で歌われた歌であることは知っていましたが、先日、川井竜介『「十九の春」を探して』(講談社)を読み、さまざまに深く認識することができました。この歌がどのように歌い継がれ、時代時代の風俗を取り込みながらいまの歌詞が生成されていったか。スリリングなルポルタージュです。

朝崎郁恵の「十九の春」は掛け値ぬきですばらしい。こんなに悲しい曲だったのか、と認識を新たにすることでしょう。これを聴くだけでこのアルバムを買った元は取れているのですが、このアルバム、なかなかに問題含みなアルバムです。

このアルバムには「十九の春」の元歌ともいわれる「嘉義丸のうた」も入っています。これは、奄美にむかう途中でアメリカの潜水艦に撃沈された民間船の悲劇を歌った歌で、その悲劇を目の当たりにした奄美の人たちの間でやはり自然発生的に作られていった歌であるそうです。

これも『「十九の春」を探して』に詳述されていることですが、太平洋戦争時に一番危険な任務に就いていたのは実は徴用された民間船であったという事実があります。太平洋戦争で戦没した海軍軍人の割合は20%弱、それに対して国家総動員で徴用された民間船乗組員の戦没者の割合は40%に達するそうです。

「十九の春」の話に戻すと、どうやらメロディの方は明治期の関西で歌われた歌が時代を経て海を渡り、歌詞の方は即興で変えられていくうちに戦後占領下の沖縄でいまの形になったようです。それを田端義夫さんが歌って本土で定着したということだそうです。今でも歌詞は沖縄各地で微妙に違うのだそうです。

「十九の春」の歌詞の五番に、

 主(ぬし)さん主さんと呼んだとて
 主さんにゃ立派な方がある
 いくら主さんと呼んだとて
 一生忘れぬ片思い

という歌詞があります。

「「十九の春」を求めて」によれば、沖縄では、この「主さん」が日本、「立派な方」がアメリカ、そしてこれを歌う私が沖縄だという解釈があるのだそうです。日本は戦勝国アメリカに対して沖縄を人質に差し出したわけです。しかし沖縄はアメリカの苛烈な占領植民下で日本に帰属することを求め、辛く長い時を耐えました。この思いに、惚れられた日本はいまなお冷淡です。日本はいまだに沖縄に対して重い負担を強いているからです。

「いくさ世どでぬむ 誰ゆ恨みゆが 生し子むい育て 肝に染みり」

占領下のコザ(現・沖縄市)で米兵の売春婦として生きる女性のために尽力した島マスさんが、子供を育てるために売春して生きざるをえないある女性のために書き残した琉歌の一節にこんなのがあるんだそうです。こんな一節も『「十九の春」を探して」で知りました。

そんな戦後62年の夏の思いを、聴いてみて頂ければと思います。


ちなみにこのアルバムには、放送禁止歌になっていた「竹田の子守歌」も入っています。この放送禁止歌については、森達也『放送禁止歌』(知恵の森文庫)で学ぶことができます。

哀切な歌声に、深い問題意識を秘めた、よいアルバムだと思います。おすすめ。
スポンサーサイト
COMMENT : 2  TRACKBACK : 0  [EDIT] [TOP]

COMMENT

また出会えた!
先夜のテレビで、朝崎さん(多分)がゴンチチのなんたらさんと一緒に出ていました(・・・よね?)。
そのときに気になってはいたのですが、名前を控えておくことも忘れ、記憶も曖昧になってきつつあった昨今。
思わぬ処で再会できました(・・・と云うことですよね?)。
この夏は、何故か奄美に行きたいなぁ、なんぞと思っていたので、余計に気になったのですね。
(実は、訪ねるべき立派な理由はあります・・・が)
近日中に朝崎さんのCDを求めたいと思います。
2007/08/12(日) 18:33:12 | URL | tatsu #uoSKjgR6 [Edit
tatsuさん、書き忘れましたが、「おぼくり」にはゴンチチの片っ方の人がギターで参加しています。選曲に問題意識が感じられると記事に書きましたが、『放送禁止歌』の森達也さんがプロデューサーとして名を連ねています。なるほど納得。
2007/08/19(日) 15:53:04 | URL | キンキン@ダイコク堂 #lUPQEYyE [Edit

Comment Form


秘密にする
 

TRACKBACK

TrackBack List



プロフィール

キンキン@ダイコク堂

Author:キンキン@ダイコク堂
ブンガク。
オンガク。
ケンケンガクガク。
↑意図的な誤用(嘘w)

ご用の際は
daikokuあっとまーくinter7.jp
(あっとまーくは記号で)
までどうぞ。













FC2カウンター



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



ブログ内検索







Copyright © ダイコクブログ。 All Rights Reserved.
Images from ふるるか ・・・ Designed by サリイ ・・・ 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。