投稿日:2008-02-10 Sun
先日、黒茶さんが教えてくださったNHKスペシャル「闘うリハビリ」第1夜が放送されました。冒頭、長嶋茂雄さんのリハビリ風景とインタビューが流れたので、それで注目して観たという方もいらっしゃるんではないでしょうか。第1夜の骨子は、「リハビリを通して脳内回路を開発し、それによって機能を回復させる」というリハビリの役割を多くの人に知らせようというものであると私は観ました。
その点で特に一般の人の注意を引いたのは「CI療法」の紹介ではなかったでしょうか。あえて機能が麻痺している箇所を集中的に使うことによって、脳内にバイパス回路の生成を促し、それによって機能を回復させようとするという考え方は、古いリハビリに対する概念を覆すインパクトがあったのではないかと思います。番組中、太田仁志さん(茨城県立医療大名誉教授)は「一般の医者はCI療法を知らない」とおっしゃっていましたが、医師でさえ、リハビリ=マッサージという誤った(あるいは古くさい)常識にとらわれている状況があることに警鐘を鳴らす内容を持っていたと思います。はた目にはマッサージに見えることが、実は脳内機能の生成という、重要な医療行為であることがよくわかる番組であったと思います。
なるほどなあ、と思ったのは、番組の後半で、「人間の可能性は無限大であり、回復はここまでという限界はない」という結論が導かれていたことです。つまり、脳の潜在的な自己回復力は私たちが考えているよりはるかに高く、損傷部位にもよるでしょうが、その可能性は無限大に近いということが示されていました。脳の一部を切除指してしまった若者の回復は、それを示すなによりの証でありました。
ところで、このブログでもごちゃごちゃ言ってきた日数制限問題。日数制限によって一律に患者の保険適用を打ち切る行為は、脳の自己修復機能の可能性を閉ざすことにつながるということになりゃしないかということを私は感じました。リハビリ日数制限問題で精力的な活動をなさっている道免和久氏(兵庫県立医大)はこのCI療法の専門家だそうですが、ああした活動の根底には「治るものを治さないのは許せない」と言う考え方があるのだと思います。一方、日数制限をしようとする厚生労働省の発想は、「お金を抑制したい」ということともうひとつ、リハビリに対する認識の古さが根底にあるのではないかと考えた次第です。つまり、「どうせ治らないんだからやめちまえ」という発想。
医学の進歩はめざましいし、脳の可能性は素晴らしい。その両方をよく調査し、正しく認識して判断することが重要であるということを感じる第一夜でした。今夜、N響アワーを観るなどして見損ねた方、明日もつづきがあるそうですからぜひ見てみてください。池辺先生、今日はダジャレを言ったかな…。
それはそうと、リハビリによる脳の再生に関しては
○「現代思想」2006年11月号
がためになりました。道免氏や多田富雄氏が論文を寄せています。
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