投稿日:2007-03-16 Fri
私は48万人署名が求めたリハビリ日数制限の「撤廃」を求めます。さてそんな時に私がひとりでも多くの人に読んで頂きたいと思っているのがこの問題に命懸けで戦っておられる多田富雄さんのご論文です。
○多田富雄「患者から見たリハビリテーション医学の理念」(「現代思想」2006.11)
http://www5b.biglobe.ne.jp/~polio/archive/Re-habilis.pdf
「リハビリ」という言葉の意味はなにかという指摘から始まって、日数制限の乱暴さ、学会の問題と、読み応えのある(しかも非常に読みやすい)論文です。青土社のご好意により、pdfファイルが無償配布されています。
昨日、私はどこかに、鶴見和子さんのことを記した記憶があります。鶴見和子さんこそ、厚生労働省の固執する「回復の見込み」がないとして現状維持のためのリハビリを打ち切られ、無情にも殺された犠牲者のおひとりでした。
--以下多田論文より
犠牲者の第一号になったのが、不幸にも社会学者の鶴見和子さんであった。例にあげるのも痛ましくてはばかられるが、十一年前に脳出血 で倒れられてからも、リハビリによって、自立して精力的に文筆活動をしていたが、今年(キンキン注:2006年)になってリハビリ 打ち切りが宣告された。回数が減らされた後、間もなく起き上がれなくなり、七月三〇日に亡くなった。その前に彼女が詠んだ歌に、
政人(まつりごとびと) いざ言(こと)とわん
老人(おいびと)われ 生きぬく道のありやなしやと
寝たきりの 予兆なるかな
ベッドより 起き上がることの できずなりたり
直接の死因は癌であっても、リハビリ打ち切りが死を早めたのは確かである。小泉さんがこの碩学を殺したと、私は思っている。病床で書いた「老人リハビリテーションの意味」というエッセイには、維持期のリハビリがどんなに生きるために必要かが、切々と語られている。そして、今回の改定は、老人に対する死刑宣告だと、いつになく激しい語調で糾弾している(藤原書店、『環』二六号)。リハビリの「専門家」といわれた人はこの文を読んで欲しい。あなたの専門家意識が打ち砕かれることだろう。
--以下ブログ本文
以前私が厚生労働省を「緩慢なる殺人者」と呼んだ理由がおわかりいただけると思います。
http://daikokukinkin.blog59.fc2.com/blog-entry-85.html
今回の自称「緩和」策に於いても、日数制限を超える保険診療には「回復の見込み」が要求されています。鶴見さんのように、現状を維持するだけでもリハビリが必要な場合は、この規定に引っかかりません。鶴見さんのようなケースは今回の「緩和」の相手にされていないのです。
リンク先の「五里夢中於札幌菊水」で脳外科見習いさんが引用してくださいました。だから後追いなんですが、ひとりでも多くの人にこの論文を読んで頂きたいので、私も引用しました。斬れば血の出るような名論文だと思います。
また、多田さんに関連して3月10日のシンポジウムに関する記事をみつけました。
http://www.janjan.jp/government/0703/0703130634/1.php
この記事についてはまた別の項目を建てたいと思います。
なんどでも飽きずに言い添えておきます。
今回の厚生労働省=大手新聞による情報操作・世論誘導は悪質なプロパガンダです。最悪の状態から半歩だけ脱したら、元の状態には遠く及ばなくても救われたような気がしてしまう、そんな人間心理を逆手に取った、悪質なプロパガンダです。48万人署名が求めたのはリハビリ日数制限の「撤廃」です。小手先の「緩和」ではありません。
追記:「回復の見込みあり」とされ、日数制限の緩和措置を受けた場合でも、日数制限を超えると病院の受け取る診療報酬が減るようです。儲からない患者として病院に忌避される可能性があります。
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