投稿日:2007-03-12 Mon
asahi.comにおいて次の報道がありましたのでご報告。NHK総合の7時のニュースでも報道がありました。
--以下引用
「リハビリ日数制限、緩和へ 厚労省が不備認め、検討開始」
http://www.asahi.com/life/update/0312/001.html?ref=rss
007年03月12日17時30分
病気や事故で損なわれた体の機能回復を目指すリハビリテーションの医療保険適用が原則として180日までに制限された問題で、心筋梗塞(こうそく)や狭心症、関節炎など特定の疾患の患者の1割以上が、医師が「まだ改善の見込みがある」と判断しているのにリハビリを打ち切られていることが12日、厚生労働省の実態調査で明らかになった。同省は昨年4月の制度改正の不備を認め、日数制限の対象外となる疾患の範囲を広げるなど、見直しの検討に入った。
リハビリについて厚労省は昨年4月、脳卒中などが発症した直後の急性期や回復期は、医療保険で従来よりも集中的なリハビリが行えるように診療報酬を改定。一方で、失語症など一部の疾患を除いては医療保険でリハビリを行える日数に上限を設け、その後、機能を維持するためのリハビリは、介護保険で行うことにした。
しかし、医師や患者からは「一人ひとりの回復の可能性の違いを考慮していない」などの批判が続出しており、厚労省も制度改正の影響を検証する調査を実施した。2822の医療機関を対象とし、855施設から回答を得た。
全体では、8〜9割の患者が日数の上限前に効果が出てリハビリを終えていたか、日数制限の対象外となる疾患だったために医師が十分と判断するまでリハビリが続けられていた。
しかし心筋梗塞や狭心症では、「改善の見込みがある」と診断されていたのに日数制限のためリハビリを打ち切られた患者が109人中12人(11%)おり、関節の痛みや炎症では235人中32人(14%)に達した。脳卒中など脳血管系の疾患では319人中7人(2.2%)だった。
医療保険のリハビリ終了後は65%の患者が自宅で過ごすとしていたが、医師から介護保険のサービスを紹介された98人のうち46人(47%)は実際にはリハビリを継続する予定がなく、専門スタッフ不足などの課題を抱える介護保険のリハビリに、スムーズに移行できていない実態も浮き彫りとなった。骨折や関節系の疾患では、機能維持のリハビリが必要なのに40歳未満で介護保険が利用できない人も2%いた。
調査結果は12日午後の中央社会保険医療協議会(中医協)で公表する。厚労省は「日数制限は大筋では妥当だった」としながらも、心臓病などを日数制限の対象から外したり、リハビリの継続について医師の裁量権を強めたりすることを検討。医療のリハビリが必要なのに打ち切られてしまう患者を救済する方針だ。
--以下本文
ようやくリハビリ期の患者さんの置かれた実態が政府の認識するところとなったことを、まずは喜びたいと思います。
しかしながら、あいかわらず「日数制限は大筋では妥当だった」というような(いかにも官僚的な)強弁も見られ、微妙な感じがします。上記の記事に、記者さんの希望的観測が交じっているような気もします。
この報道、基本的には、調査の結果がまとまったにすぎないわけです。私の読みでは、本文中に厚生労働省が「不備を認め」たようには感じられません。めったなことでは誤りを認めない厚生労働省のこと、これからの見直し作業の中で逆転したり、骨抜きにしてゆくなど改悪の可能性があります。
むしろ、実態調査の結果が出たこれからこそが、リハビリ日数制限問題に関する注意と議論が必要な時期である、と声を大にして訴えたいと思います。
記者さんの感想が混じっているかもしれない部分、個人的に気になるのは、最後のまとめにある「心臓病などを日数制限の対象から外したり」の部分。
たしかにこうすればリハビリ難民の絶対数は減るとは思いますが、日数制限の対象を定め、あるいは適用除外を設けるかぎり、どうしてもその狭いすきまから落ちてしまう人ができるのではないかと心配いたします。どんなに割合は低くても、生命の維持に関する問題において、救済の対象から洩れ落ちてしまう人がいてはならないと私は考えます。
さらにいえば、リハビリは「疾患に対する治療」ではなく、「疾患によって起きた障害」に対して行われるものです。つまり、同じ病気でも人によって症状や障害の出方はさまざまだし、一方、いくつもの病気を同時に抱えているために障害が起きている人もいます。だから、疾患別に日数や保険点数を分けるような考え方自体が間違っていると思います。それは、「リハビリテーション」の理念に反します。(ここんとこ妻談)
一方、「リハビリの継続について医師の裁量権を強めたりする」ことは、その患者さんをいちばん間近に診ている専門家の判断が重視されることになるわけで、一見よいアイデアのように見えます。しかし、いま現状で行われている除外規定の適用において、病院によってだいぶ差があるという実態があります。自分に適した病院やお医者さんを選ぶのは患者さんの権利ですが、急性期の患者さんがお医者さんを選ぶということは不可能ですから、かつぎ込まれた病院次第でリハビリの日数が違うというのは困ります。
「裁量を認めるから原則は外さない」という厚生労働省の態度はどこかおかしい。「ほとぼりが冷めたころに裁量の幅を狭める」といった手口も可能です。
やはり、リハビリの日数制限は撤廃することが必要と考えます。
(おしまいの部分を書き直しました)
なによりも肝心なことは、厚生労働省に昨年提出された48万筆もの署名が求めているものは「保険診療下で認められるリハビリテーション医療の最大180日までという期限(算定日数上限)を撤廃し、個々の患者の必要性に応じて、リハビリテーション医療を提供できるように条件を変更すること。」(署名用紙)ということです。「日数制限は大筋では妥当だった」という厚生労働省の見解はこれを無視するものにほかなりません。
(さらに書き足しました)
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