投稿日:2007-03-06 Tue
昨年11月のことになりますが、リハビリ日数制限(リハビリ打ち切り・リハビリ難民)問題に関して、重要な提言があったことを私うかつにも知らずにおりました。社団法人日本リハビリテーション医学会(理事長:江藤文夫)より柳沢伯夫厚生労働大臣宛に「平成18年診療報酬改定におけるリハビリテーション料に関する意見書」が提出されています。
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jarm/gakkai/info061124.htm
--以下内容
平成18年4月1日から診療報酬の改定が行われたところですが、本医学会の評議員や専門医を中心に実施した調査の結果などから、今回のリハビリテーション診療報酬体系の改定の内容には、早急の見直しが必要であるとの結論に至りました。そこで、去る11月21日、以下の要望書を厚生労働大臣宛に提出いたしました。
平成18年度社会保険診療報酬改定において、「リハビリテーション体系の抜本的な見直し」が行われ、発症後早期の算定単位数上限の緩和、摂食機能療法の充実、訪問リハビリテーションの充実など、本医学会が要望しておりました諸項目につき一定のご理解が得られましたことを喜ばしく思っております。
しかしながら、全人的視点に立ったアプローチが求められるリハビリテーション医療の観点から、今回の改定には以下の見直しが必要と考えております。リハビリテーション医療の一層の充実・発展のために、ご検討くださいますようお願い申し上げます。
意見項目
1:疾患別リハビリテーション診療報酬体系のなかに、「総合リハビリテーション施設」を取り入れることが必要です。
2:算定日数の制限は、問題症例を生み出す恐れがあり、見直しが必要です。
3:代替医療者の参入緩和は、国民が専門職による質の高いリハビリテーションを受ける機会を減じる恐れがあり、慎重な対応が必要です。
4:理学療法・作業療法・言語聴覚療法の削除は、専門性に係わる重要な課題であり、見直しが必要です。
(中略)
2 算定日数制限は問題症例を生み出す恐れがあり、見直しが必要です。
算定日数制限を疾患別に一律に定めることは主治医の個別診断に基づく判断を制限し、問題症例を生み出すことが危惧されます(添付資料4)。算定日数の上限を超えてもリハビリテーション医療が必要な状態は多々あり、個別性が尊重されるシステムが必要と考えます。
算定日数上限以降をゼロにするのではなく、実施頻度をきめ細かく規定するなどにより、現実に即したシステム作りが可能になると思われます。
特に外来例において、リハビリテーションの継続が可能なシステムを保障することは入院期間の短縮につながるだけでなく、糖尿病や高血圧に対する服薬管理などと同様に、利用者の地域生活を支援する上で不可欠と考えます。
介護保険制度におけるリハビリテーションの供給体制が不十分な現状で、医療保険における算定日数上限を設定することは、維持されるべき身体機能を低下させ、医療費の増大を招くとともに、国民の健康・福祉の向上という理念にそぐわないと考えます。
(中略)
(添付資料4)
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jarm/gakkai/061124Ref4.htm
算定日数制限を疾患別に一律に決めることの問題点
(1)必要な算定日数に関しては、疾患群ではなく個々の患者においてバリエーションが大きいので、算定日数制限の除外対象患者以外の患者においても、算定日数制限以上の日数が必要な場合にしばしば遭遇する。
(2)算定日数で収まらないことが予想される脊髄損傷などの疾患は、入院適応なしと判断してしまう場合がおこってしまう。
(3)介護保険対象でない年齢および疾患のために、どうしても医療保険で維持的なリハビリテーション治療を行わなければ廃用性の障害が出現する患者がいる。
(4)算定日数制限の除外対象患者になると、制度上は以前よりも診療報酬算定が行いやすくなり、不必要なリハビリテーション治療が場合によって行われてしまう可能性がある。
(5)開業している代替医療者に医師の同意書に基づく療養費を日数制限無く認めていることと整合性が取れないこと。
(6)十分に機能的なアウトカムが得られていない時点で、健康保険での診療の取り決めにおける算定日数制限の日となったことの理由で、治療を終了することを患者に説得することは難しい。
(7)維持期に利用することが前提となっている介護保険での通所リハビリテーションの個別患者における機能訓練の質が、現在の日本では必ずしも高くない。また、通所リハビリテーション自体の運用が個別の機能訓練を適切に行うことを目的としていない場合も多い。
(8)治療を継続することにより改善の得られる場合だけでなく、障害の状態の維持や進行の遅延が可能と医学的に判断される場合にもリハビリテーション医療の適応となると考えられる。
--以下私見
これまで言いたいことを書き連ねてきて、これほど重要な「意見書」が提出されていることを知らずにいた不明を、まずは恥じます。リハビリの現場でもあまり知られていないようではありますが。。。
まずは、厚生労働省に、この意見書に真摯に耳を傾け、早急に日数制限を撤廃するよう要求いたします。
この問題に関して学会は非常に後ろ向きであるような印象を私は持っていました。昨年の署名活動に際しても関係学会は発起人に名を連ねたり、表だっての賛意は示していなかったと理解しています。公害病や薬害のような、産官学の癒着構造があるのではないかと私は勘ぐっておりました。実際、いろんな話を小耳に挟んだりもしました。
しかしながら、こういった意見書が出されることによって、リハビリテーション医の学会が公式に反対の意思を表示していることは特筆すべきことだと思います。
この「意見書」とくに(添付書類4)はリハビリ日数制限の何が問題であるのか、わかりやすくまとめられていると思います。ぜひぜひ、ご一読ください。
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