投稿日:2006-11-07 Tue
今朝(11月7日)の朝日新聞朝刊「私の視点」(12面)に次の投稿が掲載されています。原徳壽「リハビリ制度 患者切り捨て批判は誤解」
趣旨はタイトルまんまです。
要は、今回のリハビリ日数制限措置は「決して患者の切り捨てではなく、限られた財源の中で、治療効果を最大限に上げることを目的としたもの」であり、反対者には「リハビリという手段が自己目的化してしまう「訓練人生」が望ましいかどうか」よく考えて頂きたい、「今回の改革で、適切なリハビリが全国に普及、定着することを願っている」というものです。
朝の慌ただしい時間なので、細かい批評のいとまがありませんが、どうしてもこれだけは言いたいと思うことがあります。それは、以下の部分。
> 「介護保険のリハビリ受け皿が十分ではない」という批判もあるが、
> 医療保険のリハビリが 約5千カ所で実施されているのに対し、介護
> 保険の通所リハビリは6千カ所、訪問リハビリ は2千カ所で行われ
> ている。病院の施設で介護保険のリハビリをすることも可能だ。
これは詭弁です。
なぜ、リハビリの「質」の低下の問題を、リハビリの行われる施設の「数」で計算するのか。この点において、この「視点」は変です。
医療保険リハビリと介護保険リハビリを比較するなら、施設の「数」ではなく、「従事者に対する患者数」、あるいは患者一人にかけられる「時間」や「予算」で比較すべきでしょう。
要は、「リハビリの質で比較する視点がなければ比較そのものの意味がない」ということです。
介護施設において、医療施設と同じ水準のリハビリが受けられるなら、原氏のもちだしてくる比較にも正当性はありますが、介護施設におけるリハビリが、人員数、時間、内容など多くの点で医療施設におけるリハビリよりレベルが低いことは、ご本人やご家族が介護施設に通っておられる人ならばすぐにわかることでしょう。その点ひとつにおいても、原氏の意見には詭弁が含まれていることを指摘しておかなければなりません。
原氏もいうように、今回の改定は「限られた財源」を前提とした措置です。原氏のいう比較が意味をもつのは、介護リハビリにも医療リハビリと同様の施設や人員=「財源」が与えられている場合です。しかし実態はまったくかけ離れています。この詭弁に騙されてはいけないと思います。
最近は政治や行政の発言に対する平均的国民のリテラシィが落ちているように思います。
このような詭弁を含んでいても、全体としてなんとなく雰囲気でOKという風潮がはびこっています。論理的整合性が顧慮されず、そもそもメディア上でこのような詭弁が批判されずに垂れ流されているのは困ったものです。
朝は忙しいんだから、お役人が「書いてくださった」からといってこういう迷惑な記事をノーチェックで載せてもらっちゃ困るよ朝日新聞。もう。
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