投稿日:2006-06-07 Wed
昨日、とりあえず反対の意思を表した「通信・放送の在り方に関する懇談会」の最終報告書がpdfで出ましたので、読んでみました。http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/chousa/tsushin_hosou/pdf/060606_saisyuu.pdf
このなかでNHKに関連して問題とすべきは、8ページからはじまる「NHKの抜本改革」、とくに○2と○6の項目ではないかと思います。
○2には、「衛星放送は難視聴地域対策が目的だったはずなので1チャンネルで充分」「FMは民間FM局や配信が普及したので多彩な音楽の提供という役割は終えたので廃止」という方針が語られています(テクスト版も用意してくれよ総務省)。
衛星放送が難視聴地域の解消を目的としてはじめられたことはつとに有名なので、当初の目的に戻せ、という主張はまだわからなくもない(しかし、「難視聴地域の解消」という目的ならBS受信料を別に取るのはおかしいということになると思うんですけど)。
問題は、NHK-FMがその役割を終えた、という認識です。
NHK-FMのよさは、クラシック、ジャズ、民族音楽(含む日本の民謡)といった、かならずしも商業資本が好んで取り上げるわけではない音楽を無償で提供している点にあると考えています。これらの音楽愛好家は、AVEXに代表されるポップスのリスナーとは数の上で大きな開きがありますが(クラシックのCDで年に1万枚売れるものは稀)、それでもそこには熱心なファンがおり、その番組を楽しみにしている人がいることを、この懇談会は知らないのでしょうか。
また、クラシックコンサートの中継(平日の19:30からやってるやつ)やジャズのライブ(「スタジオ505」など)、CDや配信では聴くことのできない音源を全国に届けるという役割を、NHK-FMは果たしています。これによって、CDを出していないアーティストの演奏に接することができるのは、地方在住者にとって必要なことです。演奏家からすれば、NHKでその技量を全国的に知ってもらうことが、彼らの地方公演などの売れ行きを左右します。
そして、民放や配信がこの代用を果たせるとは思えません。
民放FMが日本人のジャズやクラシック演奏家を取り上げることはまずありえません。民放FMポップスの、しかも新曲中心になります。民放の場合はCDを売るためのお試し聴きとしての役割が大きいからでしょう。むしろ、いまのNHKと民放FMは上手に棲み分けができていると考えるべきで、その片方をむりやり辞めてしまえば、非常に偏った状態になってしまいます。
こういう、多少マイナーなジャンルの音楽も無償で提供するメディアがあると言うことは、大げさでも何でもなく、その国の文化の水準をはかるものだと考えます。そして、文化の擁護のために受信料を集めている(これからも集めようとしている)のではなかったのか?!
○6の、「受信料制度の改革」に至っては論理的に破綻しているようにすら思えます。
公共放送の維持のためには受信料聴取が必要であるというのはまだわかるとしても、そのために公共的な保護の必要なマイナージャンルを放送する有益なメディアを率先して取りつぶしておいて、受信料支払い拒否という、そのことに対する抗議の手段すら奪い取ろうというのは横暴以外の何ものでもないと考えます。「罰則化」の可能性を示唆するあたりは、「NHK受信料を税金と勘違いしている」としか思えません。
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これはまだ、「懇談会」の「報告書」であり、実際に決まった事柄ではありません。
おそらく、これから紆余曲折があるでしょう。とくに、政治家にはNHKの代弁者みたいな人も多い。上記のようなことは杞憂になるかも知れません。
しかし、この6月1日の道交法改正に関する報道にみるように、いまのマスメディアの状況は「後出しジャンケン」「後の祭り」状態にあります。ことが決まってしまい、もはや何も変えられない状態になってはじめて正義(しかもどこにも角が立たないようなお気軽な正義)を振りかざす、あの手法にはもはやうんざりです。
だとしたら、ブログのようなメディアを通して、はやめに自らの意思を表示することが、上記のような意思表示を「杞憂」にしてくれるための世論形成に通じるのではないか。そんなことを考えています。
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